私の感激記録


by topaz2002
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哀しくて仕方ない 『青の炎』を観る ネタバレあり

ロードショー時に見逃した映画作品を観ることって、
余程の時機と縁が噛み合わない限り、
私には訪れない。

『青の炎』もそんな作品。

青の炎 廉価(期間限定)
/ 角川映画
ISBN : B000PMGSPY
スコア選択: ※※※※※

哀しくて仕方ない。



マイブーム嵐の二宮さん主演ということもあり、
以前から興味だけはあったのだけど、
事前に知ってしまった情報で、
明るく元気な気持ちになれる作品でないことは知っていまして。
ロードショー時の「こんなにも切ない殺人者がかつていただろうか」という、
宣伝コピーも鮮明に覚えておりまして……。
そうすると、観るのに勇気がいるんです、私。

結構、観賞した作品に感情を振り回されてしまう傾向にある私は、
実は、結構観賞作品を選んでいるのです。

例えば、本に感情を振り回されそうになったら、
途中で読むのを止めてしまいます。

それくらい、私は作品に感情を振り回されてしまうのです。


さて、そんな私がよっしゃと重い腰を上げて観賞してみた『青の炎』

想像以上に、哀しくて哀しくて仕方ありませんでした。

ちなみに、既に観賞済みのMより、
作品が迎える結末は、
きっと予想通りだと思うと聞かされて観賞してみたのですが、
全然予想通りの結末ではありませんでした。


事前に知っていた情報として、
二宮さん演じる高校生の少年と家族の日常が、
かつて少年の母と再婚し、その後離婚した男によって脅かされていき、
少年は家族を守る為に、
その男を消すために完全犯罪を計画実行するということでした
(どう転んでも明るくない話だ!)。
原作は未読です。
オチは知りません。


私の予想していた結末はというと、
二宮さん演じる少年の完全犯罪計画でしょ???
そりゃ、成功するでしょ!
完全に殺人を犯しきるでしょ!というものでした。

もしくは、警察に捕まっちゃうのかなとか考えておりました。


どちらでもなかった。
だからとても哀しかった。

この作品は数回観たのだけど、
1回目は物語の展開がただただ気になり、
特に泣けたりはしなかった。

2回目以降は本当に哀しかった。
特には、二宮さん演じる秀一が、
松浦亜弥さん演じる紀子を秀一の家から駅まで送っていく場面。

駅までの道は、
微妙な距離を保って歩いていた二人が、
秀一と紀子が駅の改札前で別れる際に、
向かい合って言葉を交わす場面。

「じゃあ、帰るね」と紀子が言い、
その場から去ろうとする際に、
秀一が「俺、人を殺したんだ」という告白をするところ。

ただ一言「そう」と応える紀子が、
一歩、秀一に歩み寄って秀一の左肩に額を乗せ、
秀一が紀子の両腕に手を伸ばし、
軽く抱き締めるかのような場面。

静かな静かな壊れてしまいそうな場面。

もう、この場面がね、
泣けて泣けて仕方ないんだよね。

この展開の直前の、
秀一が感情を露わにして紀子に怒声を上げる場面、
水槽越しに触れあう二人の指と指の場面から、
切ないモードにエンジンがかかってるからね。

秀一と紀子の水槽越しに見つめ合い、
指を伸ばす場面のアイコンタクトもまたいいよね。
水槽に頭をぶつけ、
謝るような縋るような視線を紀子にぶつける秀一。
頷くような素振りを取る紀子。
目を逸らす秀一、見つめ続ける紀子。

秀一は、モノローグで語っている通り、
「僕は、独りで世界と戦っている」ような少年で、
秀一にとって、母と妹という家族は守るべき弱い者であり、
安らぎの存在ではなくなっているんだよね。

だからこそ、この紀子と過ごす時間が、
本当にこの作品の救いになっていてね。

しかしながら、
改札で別れた後、
振り返らない紀子と、
紀子の方を見ようとしない秀一が印象的だった。


自らの最期を決心した秀一が、
きちんとした「別れ」を言いに、
会いに行ったのが紀子で、
学校の美術室で紀子が絶対に出会うことはない、
30年後の秀一の肖像画を描いているのも切ない。

この美術室の場面は、
ほとんど引きで撮られてて、
秀一と紀子の細かい表情とかはわからない時がほとんどなのだけど、
秀一と紀子の距離感だけが、
俯瞰的視点で妙に印象に残ってね。
近づかないんだよね、この二人。
そして、この二人はもう、
永遠にこれ以上近づくことはないのかなって、
予感させるかのよう。

秀一が出て行った美術室で、
怒ったような哀しいような顔をして、
上方を見上げ涙を堪えてる紀子の姿にも泣けてしまう。

この紀子役の松浦さんの演技には、
随分と厳しい評価をくだしている方が多いみたいだけど、
私はこの作品で松浦さんの評価は上がりました。
松浦さんが好きになりました。

一番、印象に残った台詞も松浦さん演じる紀子の台詞でした。

「私ね、この地球上で殺されても構わない人間なんて一人もいないと思う。でも、人を殺さないといけない事情を抱えてこんでしまう人間だって、残念ながらいるんだよね。」



前半、言っていることは、まんま『罪と罰』なんだけど、
後半の台詞で秀一を認めているんだよね。
受け入れているんだよね。
きっとこの台詞に秀一は救われたんじゃないかな。
そんなふうに思いました。

あぁ、それにしても哀しいね。
完全犯罪に綻びが見え始めた時、
私も秀一同様絶望したよ。
でも、あのツメの甘さこそが唯一の17歳らしさだったのも何だか皮肉だった。

10代は乗り越えないといけないものがたくさんあるね。
10代の頃、なぜあんなに焦っていたのだろう。
規則や規律を破ってまで欲しかったものは、
そして手に入れたものは今でもなくさないでいるのだろうか。



ロードレーサー
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海亀の産卵
控えめにないてる蝉
モノクロじゃないパンダ
底の抜けたポケット
全然痛くない注射
最後まで使い切った歯磨きのチューブ

……

鳴らない目覚まし時計
ずっと続く青信号

……


『青の炎』
監督・蜷川幸雄
原作・貴志祐介
共同脚本・宮脇卓司

二宮和也
松浦亜弥
鈴木杏 秋吉久美子 中村梅雀 山本寛斎
2003年


あぁ、急に思い出したけど、
私の高校の制服、
山本寛斎さんデザインだった。
すげー可愛いんだよ~♪
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by topaz2002 | 2007-11-09 22:15 |